身体が攣る(つる)ことの仕組みとキネシオテーピングを使った予防法

ケーセブン整骨院では、スポーツをしている方への施術が多いです。

施術的には、治療的なものよりもメンテナンス系(保険外)が多いです。とはいえ、スポーツ中に相手の膝がモモに入ったとか、相手の足やボールを踏んで捻挫したとか、そういう怪我への施術(健康保険)もそこそこ多いです。

で、選手たちと施術をしながら駄話っぽく話をすることがあります。そんな時に「攣る(つる)」ことがテーマになることがあります。スポーツ中だと割とよくあることだし、起きてしまうと動けなくなるし痛いから、話題になりやすいですね。

アスリートだけでなく一般の方でもそうですけど、攣ることにはそこそこの興味があるようです。攣ると痛いのは誰でも変わりないので。

で、この記事では、ケーセブン整骨院で考える「攣る」ということと、攣りそうな気配が出てきたときのキネシオテーピングによる対処法を紹介します。

キネシオテープを使った方法なので、テープはかぶれるから使えないとか、諸事情で嫌いだとか、そういった方には残念ながら使えません。それ以外の方は、ぜひ試してみてください。瞬間的に、気持ち悪いほど効く場合があります。

攣る(つる)ってどういうこと

攣るというのは、筋肉が異常収縮を起こすことです。痙攣(けいれん)もそう。

と、言葉が難しすぎてすみません。

筋肉は、脳から神経を通して電気を流されると縮みます。縮むと力が入ります。つまり、運動する時には脳から神経を通して身体中の筋肉に電気が流されています。

攣るとか痙攣とかは、この脳から筋肉への電気が勝手にドバっと流れて、うまく制御できなくなった状態。

ひたすら電気が流れて、筋肉がひたすら縮んで、自ら壊れてしまうくらいになっちゃいます。当然、痛いです。怖いですね。

仕組みから考える攣った時の対策方法

さて、どうして電気が勝手にドバっと流れちゃうのか。その理由というのはいろいろあるようで、はっきりとしたことは、多分まだわかっていません。

内臓や心臓などの病気でも攣る人はいますが、その辺についてはこの記事では触れません。

で、スポーツ活動の中で攣りそうになった場合の対策を仕組みベースに考えます。攣る仕組みについて僕が参考にしたのは以下の本です。結構好きな本です。

関節の曲げ伸ばしについて

ちょっと話が飛ぶように感じるかもしれませんが、全然飛んだ話ではないので少しだけお付き合いください。

骨と骨が接しているところを関節といいます。 肘とか膝とか肩とか足首とか曲がるところですね。

この関節を曲げたり伸ばしたりするために働くのが筋肉です。関節には、主働筋(しゅどうきん)と拮抗筋(きっこうきん)という二種類の筋肉があります。 メインで働くのが主働筋。拮抗筋は、主働筋の表裏の関係での裏側の筋肉になります。で、ある意味補助的に働きます。

主働筋と拮抗筋は、関節の曲がる方向によって入れ替わります。「○○筋は主働筋」とかそういうことではなくて、例えば肘を曲げるときの主働筋は上腕二頭筋で拮抗筋は上腕三頭筋。逆に肘を伸ばすときには逆になって、主働筋は上腕三頭筋で拮抗筋が上腕二頭筋になります。

この補助的に働く拮抗筋が、実はとても大切です。ネット上にちょうどいい表現があったので、引用してみます。

拮抗筋には主働筋の筋収縮を抑制するブレーキ機能がある。事前に拮抗筋を鍛えることでブレーキ機能を弱め、主働筋をより強く収縮させて筋肉への刺激を増やすという筋トレのやり方がスーパーセット法である。

https://tarzanweb.jp/post-241480?heading=2 ; Tarzan 2022.06.09 最新号 体脂肪の新常識

この文章の最初の部分、「拮抗筋には主働筋の筋収縮を抑制するブレーキ機能がある。」です。

関節を曲げるための主働筋が働くとき、主働筋はそのスピードとか力加減の調整がうまくできません。なので、その調整を拮抗筋が請け負います。つまり、関節が曲がるとき、主働筋だけでなく拮抗筋も補助的に働いているということ。

繰り返しになりますが、拮抗筋は主働筋が暴走しないように手綱的な仕事をします。なので、拮抗筋の働きが落ちてくると主働筋が暴走する、つまり攣るとか痙攣が起こります

ここまで説明をすると、勘のいい方は筋肉が攣ってしまう原因は、主働筋ではなく拮抗筋にあることに気づかれると思います。

なので、攣りそうな気配が出てきた時にアプローチするのは、攣りそうな主働筋ではなく逆側の拮抗筋ということになります。

具体的な事例を挙げてみましょう。

割とよく攣る場所にふくらはぎがあります。ふくらはぎは下腿三頭筋という筋肉。この場合の拮抗筋は前側のすねにあたるところにある前脛骨筋という筋肉です。

で、上で解説したような原理があるとすれば、ふくらはぎに攣りそうな気配を感じたらキネシオテーピングをする場所は前側のすねになります。

ふくらはぎが攣りそうなときにすねにテーピングをする人って、まず見かけないですよね。関係ない気がするし。

でも、試してみていただくとわかりますが、気持ち悪いほど貼った瞬間にふくらはぎの攣る気配は消えます

大事なのは攣らないようにすること

筋肉が攣らないようにテーピングをする、これは予防的な行為です。攣りそうなのを放っておいて、攣ってしまってからテーピングをする。一般的にはこれが多く、これは対症的な行為です。

どちらがいいのかというと、個々人の考え方にもよるとは思います。が、ケーセブンでは予防的な行為の方がいいと考えています。

攣りそうなのは、先に書いた仕組みによれば拮抗筋の働きが落ちている状態で起こります。ということは、

「拮抗筋がちゃんと働いていない=パフォーマンスが完全には発揮されていない」

と考えられるためです。特に競技スポーツをしている方は、相手よりも少しでもパフォーマンスを出そうとしているはず。それを放っておくって…、まぁ、対策しておいて損はないと思います。

究極的な予防法

先の例のように攣る気配が出たところでテーピングをするのは予防の一つです。が、気配が出る前にテーピングをしておくのも予防です。

そうやって考えていくと、身体のあちこちをチェックして、働き具合の落ちているところを先回りでケアしておくのが究極的な予防法と考えます。

また、「身体が壊れる」ことを分析していくと、一か所(壊れた場所)に力学的な負荷が集中していることがほとんどです。これを防ぐためには、負荷の分散を行えばいいということになります。

力学的な負荷の分散は、本人的な対処法としては身体の使い方を変えていくことが必要です。身体の使い方を教わらないといけないので、すべてを自分でやるのは難しいかもしれません。

あと、身体系の専門家によるフォームのチェックも有効です。肉体的に無理無駄な動きがあるのかないのか。ただ、フォームチェックとその結果に伴うフォーム修正は、できる人が少ないのが実情だとは思います。近所の治療院ならどこでもできるわけではないです。

まとめ

スポーツをしていると身体が攣ることってあって、日常茶飯事に近い方も多くいらっしゃると思います。

そんな方には、「攣ること自体はしょうがないことで、あまり効果的な対策はない」と思われている気がします。場合によっては、筋弛緩系の漢方薬とかを使う方もいらっしゃるようです。スポーツするのに筋弛緩させるって、なんか違うような気がしますが、話を聞いたことがあります。

そんな場合には、キネシオテープ1本で変わってくる可能性が高いので、まずは試してみていただければ幸いです。

一般的には、この手のものは「痛いところ、壊れたところに貼る」と思われています。が、しかし、身体の仕組みを考慮して貼ればもっと効くはず。初めて聞くひとには見当違いにみえるとは思います。でも、たった一枚のテープを貼るだけでいいのでやってみて欲しいです。

これで楽になれば儲けもの、そんな感じじゃないでしょうか。そんな感じで気楽にやってみてください。

エッセイ
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ケーセブン整骨院代表の走尾(はしお)です。
大学工学部を出て、コンピュータメーカーでコンピュータのハード設計を11年以上経験してから人の身体をよくする業界に入ってきました。
今の仕事も四捨五入して20年に入ってきて、かなりレベルが高くなってきたと思っています。
コンピュータの業界で培った技術と人の身体で培ってきた技術の相乗効果で、よりよい施術品質を提供しています。

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