ケーセブン整骨院院長で国家資格(免許)である柔道整復師の走尾潤です。
坐骨神経痛というのは、接骨院での健康保険での施術ができるものではないのですが、その辺はよくわからずご来院いただく方も多いので、どんなものかを書いてみたいと思います。
坐骨神経痛とは?
「坐骨神経痛」っていうことば、よく聞きます。併せて聞くのが「腰から来てるんですよね~」と。そういうのを聞くたびに、一部誤解があるかな、と思います。
坐骨神経とは?
坐骨神経を語る時、「坐骨」と「神経」とはなんぞやというところから入ると全体像が明確になるでしょう。
坐骨とは、骨盤の一部です。よく、骨盤が歪んだとかずれてるとかいわれますが、その骨盤の一部の骨が坐骨です。
神経とは、脳から筋肉への命令を伝えたり、感じた痛みを脳まで伝えたり、身体の中の電話線と考えていただけると良いです。情報を伝えるケーブルみたいなものですね。
では、坐骨神経。身体の中には無数の情報を通す線が走り回っていて、そのうちの坐骨のあたりにあるものです。腰から出て、脚の後側を通って足先まで行く神経。
街にある皆さんが使う道路って、それぞれに名前がついていますよね。国道クラスなら東海道とか甲州街道とか中山道とか。あとは何とか通りみたいなのまで。それと同じで、神経にもそれぞれ名前がついていて腰から足先まで行くのが坐骨神経と思ってもらえばだいたいOKです。
では坐骨神経痛は?
坐骨神経に痛みが出れば坐骨神経痛です。読んで字のごとくですね。これたった一行で書けますが大事なことで、坐骨神経に痛みが出れば坐骨神経痛です。
坐骨神経痛の痛みの震源地(原因)はどこだ
坐骨神経痛は坐骨神経という神経に痛みが出るというのがわかったところで、この痛みの震源地はどこか、どんな原因に酔って起こるのかという話に移ります。
神経は情報を伝えるケーブルということなので「線状」です。根元でなにか原因があれば、その先全部の痛みを感じます。だから、治療をするとなるとどこが原因なのかを探らなければなりません。ただなんとなく、神経全体が痛くなってしまうわけではないです。高速道路上のある一か所で事故が起こると、その手前の広い範囲で渋滞するのと一緒です。
この震源地としてよくあるのが「腰」です。だからよく「腰から来てる」っていう表現をする方がいるんだと思います。でもですね、必ずしも腰が原因とは限りません。
たとえ、レントゲンを撮って腰椎の隙間が狭くても、それが原因だとは限らないです。
少し本題からはずれますが、手元にある「整形外科プライマリケア」という本の腰痛の画像診断について興味深い記述があります。
- MRI上の椎間板ヘルニア像と腰痛が一致することはまれである
- 青少年の脊椎分離症、すべり症が腰痛の原因となることはまれである
- 脊椎館狭窄症の画像診断は症状と関係がない
- 椎間関節痛は画像診断で診断できない
とあります。
だから、再度書きますが「腰椎の間隔が狭くても、それが原因だとは限らない」ということです。では、坐骨神経痛があって、でも腰が原因とは限らないのであれば、一体どんなことがあるのか。
梨状筋症候群
お尻の奥深く、股関節周りに梨状筋(りじょうきん)という名前の筋肉があります。ここでトラブルが起きても坐骨神経痛が起こるといわれています。
梨状筋症候群についてはググっていただくとたくさんの記事が見つかります。
その他にも坐骨神経痛の原因はたくさんあると思います。今までに見つかっていない、原因と思われないものだってあるに違いありません。この記事では、最後にあげる事例とのからみで、梨状筋をとりあげてみました。
坐骨神経痛の治療方法
医療機関
坐骨神経痛には、いくつかの原因や症状の重さによる違いがあるために特定の治療法があるわけではありません。症状が重い場合には、手術になることもあるし、神経ブロックや投薬(痛み止め)で症状緩和していくケースもあります。
セルフケア
ご自身でトレーニングやストレッチ、テーピングなどでケアをする方法などがネット上にたくさん紹介されています。ただ、数ある原因の可能性から原因を特定し、自分で対処をしていくのはかなり難易度がたかく現実的とは思えません。
ケーセブンでの治療方法、考え方
ケーセブン整骨院では、手術・神経ブロック・投薬などの手法はとれません。そこで、原因の追求と、その原因の除去を優先して施術を行います。患部の直接の修復は狙わずに、患部に物理的な負担をかけないように身体を調整し、患者さんの治癒力で回復することを目指します。
坐骨神経痛は、通常片側に出ます(両側に出ることはあっても非常に稀です)。よく調べていくと、9割ほどの人に重心の偏りがありそちら側に症状が出ます。
そこで、重心の偏りをなくすように施術をし重心位置のコントロールをします。また、前後の重心バランスも修正していきます。
事例
足がしびれるという患者さんがいらっしゃいました。立っているのもつらいと。整形外科ではレントゲンを撮って、腰椎に狭いところがあるからヘルニアと診断されたそうです。
それについてどうこういう立場ではないし、多少楽になればということ来ていただいたのでいろいろチェックをしてみます。
先にも書いていますが、画像診断は必ずしも確定できるものではなく参考情報的なものだという感触を持っているので、各種テストを使って念のためのチェックです。
すると、どうも整形外科のいろいろな本に出ている椎間板ヘルニアの症状とは微妙に違う結果が出てきます。どちらかというと、梨状筋症候群。なので、多少でも楽になってもらうための施術としては梨状筋の状態を改善するアプローチを選択しました。
梨状筋にアプローチする施術の結果、その場ではサッと立てるようになりました。数日スパンでの経過を見ても、施術前よりだいぶ楽になったと。実際に起きていることは、整形外科の先生のおっしゃる腰椎の隙間が狭いのが原因なのかもしれませんが、実際には梨状筋にアプローチをしたら楽になりました。
まとめ
実際に身体の中で起こっていることと、先生方が思っていることと、患者さんが思っていることの間には多少のずれがあることがよくあります。今回の事例の人もそんな感じ。
坐骨神経痛は、坐骨神経と呼ばれる長い神経のどこかでトラブルが起きて、足先までしびれが出るもの。そして、かならずしも腰が原因とは限らない、ということ。
が、まとめ的なことでしょうか。
坐骨神経痛とは何ぞやというあたりから、事例までをまとめてみました。何らかの役に立てたとしたら幸いです。