先日、とあるテレビ番組を見ました。
膝関節の手術を年間600例ほどこなすという、すごい先生の特集。
「職人」と呼べるその技術は、長年膝の痛みに苦しみ、歩くことさえ困難になった患者さんにとっては、まさに神でしょう。
ただ、その素晴らしい技術に感心する一方、違和感を覚えたのもまた事実。
「理想を言えば、こういうお医者さんが必要とされない世の中のほうが幸せなんじゃないか」
そんなふうに感じました。
もちろん手術を否定するわけではなくて、そこに至る前にできることがもっとあるような気がしてなりません。
今回は、僕が感じたその違和感の正体と、ケーセブンで大切にしている「壊れたところを治す前に、壊れないようにする」という考え方についてお話ししてみようと思います。
「修理」だけで本当にいいの?
膝が壊れたら、膝を修理する。
これはとても分かりやすくて、医学的な知識がなければ当然の判断だと思います。
でも、これを身近な機械に例えてみるとどうですか。
たとえば自転車。チェーンが錆びて動きが悪くなったとき、いきなりチェーンを交換する人は少ないはずです。まずは油をさして、動きを良くし、長持ちさせようとしますよね。まぁ、錆びで真っ赤なチェーンの人も見ますけど…。
手術で患部だけを治すというのは、チェーンに油をさすことなく使い続け、切れたら交換するのと似ている気がします。
車の場合もそうです。タイヤが偏ってすり減っていたら、タイヤ交換をするでしょう。
でも、もしタイヤが偏って減ってしまった原因が、車軸のズレ(アライメントの狂い)にあるとしたら?
単にタイヤを交換するだけでは、またすぐに同じようにすり減るでしょうね。
機械であれば「変な音がしたら油をさす」「定期的に点検する」といったメンテナンスが当たり前に行われます。
けど不思議なことに、人間の身体に関しては、そうした「事前のケア」や「原因への対処」が後回しにされがちなのが現実です。
治療は「治る力」と「壊す力」の競争
治療というものをシンプルに考えると、「治る力」と「壊す力」の競争だと言えます。
- 治る力:生きている人が誰でも持っている、自然に身体を修復する力(自然治癒力)。
- 壊す力:患部に負担をかけ続けてしまうこと。怪我をしていても動き回ったり、無理な姿勢を続けたりすること。
お医者さんが「安静にしてください」と言うのは、この競争を「治る力」の勝ちに持ち込みたいからなんですね。
ケーセブンの施術は、このバランスを「治る力」側に大きく傾けることを目的としています。
そこで重要になるのが、「アライメント」という考え方です。
アライメントを整えれば、回復はもっと早くなる
「アライメント」というと難しく聞こえるかもしれませんが、AIに解説させてみるとこんな答えが返ってきます。
「背骨や骨盤、脚など、それぞれが本来あるべき位置に揃っていること」。
ものすごく大雑把に言えば、「骨の並び」のことです。
膝で言えば、上の骨と下の骨が、体重をしっかり支えられるように真っ直ぐ組み合わさっているかどうか。
極端なO脚やX脚だと、体重に対して骨が斜めになってしまうので、立っているだけで膝に「壊す力」が強く働きます。
ケーセブンでは、患部の血行を良くしたり電気を流すより、まずこの「壊す力」を減らすことを最優先に考えます。
いくら良い治療器を使っても、患部に常に「壊す力」がかかり続けていては、なかなか回復しません。
逆に言えば、骨の並びを整えて「壊す力」を取り除いてあげれば、その人が本来持っている治癒力が最大限に発揮されるはずです。
算数で言えばとても簡単なお話です。
「治る力 - 壊す力 > 0」
この状態を作れれば、体は自然と治っていきます。
なぜ「骨の並び」は見過ごされがちなのか
これほど合理的な考え方なのに、なぜ一般的にはあまり重視されないのでしょうか。
ひとつには、多くの人が「痛みが出て初めて身体に問題が起きた」と認識するからだと思います。
「痛みがなければOK」「日常生活に支障がなければOK」という感覚が普通ですよね。
また、健康保険制度の影響もある気がします。
保険診療は基本的に「壊れてから治療する」ための制度であり、予防的なアプローチには適用されません。
予防医療は経済的な観点では効果が見えにくいとも言われますが、個人の長い人生で見れば、健康を守る確実な投資になるはずです。
現状では、ある程度の知識を持ち、メンテナンスの重要性に気づいている一部の人だけが、日頃から体をケアできているように感じます。
保険診療の中でもできること
「じゃあ、保険診療の整骨院ではアライメント調整はできないの?」と思われるかもしれません。
確かに全身をくまなく調整するとなると自費診療の領域になりますが、ケーセブンでは保険診療の枠組みの中でも、この考え方を取り入れています。
それが、「患部周辺のアライメント調整」です。
怪我をした場所(患部)だけに注目するのではなく、その周辺の骨の並びを整えることで、患部にかかる外力(壊す力)を減らすことは充分に可能です。
これは予防のためというより、「より早く回復してもらうため」の処置です。
膝に限らず、身体のどんな部分でもこの理屈は通用します。
実際、臨床現場ではかなり高い効果を実感しています。たとえば「他院に半年間毎日通院しても治らなかった」という方が、アライメントを調整しただけで、その場で痛みが半減することも珍しくありません。
これは魔法のように一瞬で治ったわけではなく、患部を引っ張ったり押し潰したりしていた「壊す力」が減ったことで、痛みが引き、本来の治癒がスタートしたということなんです。
手術の前に、試せる選択肢がある
冒頭でお話ししたテレビ番組への違和感は、まさにこの点にあります。
手術が必要になる段階まで悪化する前に、骨の並びを整え、負担を減らすアプローチがもっと世の中に広まっていれば、手術を回避できた人もいたかもしれません。
もっと日常を楽に過ごせた人も多かったのではないか、と思ってしまうのです。
最後に、あなたはどういった選択をされるでしょうか。
- 一般的な考え方に従い、壊れたらその部分だけを修理する。
- 少し視点を変えて、患部にかかる負担(外力)を減らし、自分の治る力を最大限に引き出す。
もし、怪我の治りが遅いなと感じているなら、患部に「壊す力」がまだ残っているのかもしれません。
その部分を見直してみるのも、一つの有効な手立てではないでしょうか。
気になることがあれば、いつでもご相談ください。



