ある日の夕方、急に治療機械の調子が悪くなりました(吸引圧が下がる)。メーカーに症状の問い合わせをしてみたところ、「とにかく送ってもらう他に何もコメントできない」といわれ、途方に暮れ、どうせ使えないならと自分でメンテナンスをしました。
メディセルという医療機器を使っている。
昨日の夕方に急に吸い(働き)が落ちた…。
メーカーに問合せたが「送ってもらって見るしかない」といわれ、それはそれで大変で困った。
そこで自分で外科手術に踏み切った。最終的には問題もわかり、復旧した。相変わらずの障害調査班な自分。#fb pic.twitter.com/xRhqgep0nv— hashiojun (@junpa) 2018年9月12日
人の身体も原理・仕組みを知れば知るほど、トラブルに対処できるようになります。今回調子の悪くなった機械(メディセル)は、今までの機械物を触ってきた経験上、それほど複雑ではないはず。開けてみたところ、思った通り単純な構成で、メンテ後の調子も元に戻りました。
今回のトラブル(吸引圧が下がる)は古いメディセルを使う人には起こる可能性の高いトラブルです。日頃きちっとメンテナンスをしていても、構造上完全に避けることはできないんじゃないかなと思います。
そこで、この記事ではメンテナンス方法を紹介します。もしもの時には、参考になれば幸いです。
メディセルの仕組み
メディセルはとっても簡単にいうと、ただ空気を吸うだけの機械です。吸う力や吸い方を変えることができますが、基本はただ吸うだけです
ということは、ホースとポンプが主な構成で、吸引圧が下がるのはそのどちらかに原因がある可能性が高いです。
今回は吸い方や吸う力の調整はできていたので、ホースの詰まり系のトラブルだろうと推測しました。機械を開けてみたら仕組みは単純で、以下の図の通りです。
空気の流れをみてます。(上の図を参照ください)
治療するために人の身体に直接当てるヘッドの部分からホースでメディセルに本体に流れ込みます。ここは1番のコネクターで繋がります。メディセルの内部で1番のコネクターから2番のコネクタにホースで繋がります。
2番のコネクターで一旦外に出て、そこにはフィルターがついています、このフィルターでゴミが取り除かれることになっています。フィルタを出た空気は3番のコネクターから再び内部に入り、一番奥には吸引圧を作っているポンプがある、という簡単な構成です。
問題が起きていた場所
今回問題が起きたのはメディセルの内部で2番のコネクターのところです。2番のコネクター内にごみが溜まり、詰まりました。(以下の写真で左下)
吸引力が落ちたので、まずはホースを洗いました。そこでテストをしたときに、多少残っていた水がこの部分にたまりました。少し見えにくいですが、白く濁った水がホース内にあるのがわかります。
ヘッドには常に吸引圧がかかっているので、ゴミが入る可能性は高いです。これは仕方ありません。そのゴミを除去するのがフィルターです。そのため、フィルターの定期的な掃除も勧められています。
今回のトラブルはこのフィルターよりも手前でゴミが詰まったことが原因です。ここはメディセルの内部なので、分解をせずに外から手入れをすることはできません。
つまり、どんな人でもこのトラブルは起こる可能性があります。個人的には、設計的にフィルターの手前でメンテナンスできないところにゴミが詰まるというのは一種のバグですね。
メンテナンスの方法
それでは、メンテナンスの方法です。
準備するもの
以下の物が必要です。上の方が重要です。下の方は、もしかしたらなくても大丈夫かもしれません。
- プラスドライバー
- 16mmスパナ
- モンキーレンチ
- ニッパー
- 結束バンド(2mm)
- プライヤ
- ドライヤー
- 針金
- 掃除機
- その他
作業手順
- 電源コードを抜く
- 4つのねじを外す
- 上部をそーっと持ち上げ、ケーブルコネクタを抜く
- (できれば)埃の掃除
- 1番と2番のコネクタの結束バンドを取り外す(ニッパーで切る)
- 2番のコネクタからホースを抜く。ドライヤーでかなり暖めないと難しいかも。
2番の作業前に上についているコネクタを外して外側に落としておくとやりやすい - 2番のコネクタをメディセルから外し、中の埃を取り出しよく洗う。かなり埃が溜まっていた
- 1番のコネクタをホースを付けたままメディセルから外して洗う
- 逆の順番で戻していく
おまけ的に
今回、うちでは作業を行いませんでしたが、運用時のビビリ音対策もできそうです。
上蓋の裏側に防振ゴムが入っています。これが古くなればビビリ音が出やすくなると思います。この機械も運用中にだいぶビリビリ音がするので、近いうちに変えようかなと思いました。ドイトとかにいけば、防振ゴムは売られていると思います。
作業した感想
今回のメンテナンス作業は手順的には簡単でした。作業箇所も多くありません。
上蓋を取るときや最初に中のコネクターを外すとき、またホースを抜くのは慣れないとビビるかもしれませんが、丁寧にやればそれほど壊れてしまうものでもありません。
うちの機械は一番古い大きいタイプなので、手を入れやすいし、作業はしやすいかもしれません。ただ小さい携帯用のタイプでも原理的には同じはずなので、問題が起きたら同じように対処できると思います。
また、うちの機械は保証期間も過ぎていますし、ダメ元で作業をしました。自分でできる作業ではありますが、もしチャレンジされる場合には自己責任でお願いします。
今回作業してみて、このトラブルはある程度定期的に起きざるを得ないものなので、自分で出来る方がいいと思います。また、可能性を知っておくことも大切だと思います。
このメンテナンスのためにいちいち大きい機械をメーカーに送り、コストをかけてメンテナンスをするのは個人的にはもったいないと思います。保証期間の切れている方で吸引圧が落ちたと思ったら、チャレンジする価値は大いにあると思います。
ちなみに、作業時間は1時間程度でした。初回でこのくらいの時間なので、慣れればもっと速くできると思います。
まとめ
結局のところ、人の体も機械もその仕組みや原理が分かっていれば、何かが起こった時に対処をする道筋が見えてくるということです。
わかればわかるほど深くまで、難しいことまで治療ができるということなので、人の身体についてももっともっと勉強していけばいいんだと改めて思いました。また物は違えど同じ発想で色々なことができるので、知識も増やしていこうと思う、そんなメディセル修理でした。