まっ、言葉の問題といえば言葉の問題な気がします。言葉に多少敏感な傾向がある自分には、「クセ」っていうのはちょっと違うと思っています。
と、いきなり切り出しましたが、「捻挫を繰り返すと癖になる」というフレーズをよく聞くのですが、どうしても違和感があるので、繰り返す捻挫について思うところを書いていきます。
捻挫は癖になるというけど、本当なのか、実際どうなの?
冒頭にも書きましたが、「捻挫を繰り返すと癖になる」とよく聞くことがあります。ネットでそのフレーズを検索するとお医者様とかの解説記事もたくさん見つかります。
日本は民主主義、つまりは多数決が物事を決めていくので、それはそれで正しいのかもしれません。
でも、あえて違うんじゃないかなといいたいです。
捻挫を繰り返す人っていうのは確かにいます。年がら年中繰り返していたら靭帯が弱くなることも実際にあるでしょう。靭帯がボロボロになっちゃったら元通りの強度は出ないです。
捻挫を繰り返したから、靭帯が弱くなって、繰り返す。
よく読んでみてください。何となくおかしくないですか?
一番最初は、本当にたまたま捻挫したんでしょうか。で、二度目もたまたま捻挫したんでしょうか。で、三度目辺りもたまたま捻挫して、そろそろ靭帯が弱くなってきて、癖になったのでしょうか。
いや、最初や二回目くらいだとそれほど弱くないですよね。
つまり、癖になるきっかけというか、最初がない話をされるんですね。これっておかしい気がするのは僕だけでしょうか。
繰り返す捻挫は、クセというより身体のメンテ不足が大きな理由だと思う
ずーっとアスリートの身体を見てきて思うのは、故障をするのはほとんどの場合メンテ不足が理由です。故障を繰り返す選手っていますよね。そういう選手をたまにみせていただくと、身体の全体の状態がよくないです。
逆に、既知ッと定期的にメンテを受けている選手はほとんど壊れないです。メンテ自体、治療的な意味ではなく、パフォーマンスの維持と向上です。ほとんど壊れないので、治療的なことはあまりしないです。
それはさておき、メンテ不足といった場合に大体3つの要因があります。
- 人にはもともと左右差があり、それに起因する故障
- 腹筋系の働きが落ちている
- 足の指、特に小指や薬指の働きがよくない
この3つがきちんと調整されていれば、故障は驚くほど減るし、癖のように捻挫を繰り返すことはなくなります。
1番はプロの施術を受けるしかないです。近くにそういった話を受けてくれるプロがいればラッキーですね。
2番は、テーピングなどでセルフケアは可能です。
3番は、練習前の着替えの時とかに簡単なテーピングをするといいです。
では、それぞれ詳細にいきます。
人にはもともと左右差があり、それに起因する故障
以前の記事で紹介しましたが、ほとんどの人が元々身体に左右差を持っています。うまく力が出てこない側には重心が偏り、さらに足首の外側に体重を余計にかけてしまいます。これが治りを悪くする理由の一番大きなものです。
この左右差は怪我があろうがなかろうがすべての人が持っているものです。特に度合いが大きくなればなるほど怪我をするリスクは上がります。今までの経験上をこの左右差をメンテして真ん中に近づければ近づけるほど怪我をしにくくなります。
とはいえ、メンテナンスで真ん中に近づけたとしても、恒久的に真ん中になったわけではありません。将来的に自分の技術が上がればわかりませんが、今のところは定期的にメンテナンスをする必要があります。
腹筋系の働きが落ちている
腹筋系の働きが落ちている人もかなり多いです。というかほとんどです。ほとんどの人が気づいていません。
腹筋系の働きが落ちるとどうなるかというと重心が後ろに下がります。後ろに下がると足の指の働き具合が下がります。足の指って想像以上に身体の安定性のために仕事をしています。その作用が減るので不安定になり捻挫しやすくなります。
腹筋系の働きが落ちていて怪我のリスクが高くなっているのに痛みは特に起こらない。痛みが出てくれた方がある意味いいのかもしれません。
また骨盤全体を支える力も弱くなってくるため、脚が外に捻れだし、O脚になっていく可能性もあります。
O脚になっていくと、脚に掛かる体重が外側に寄っていきます。外側に寄れば夜ほどねんざのリスクは上がります。
足の指、特に小指や薬指の働きがよくない
足の指は想像以上に身体の安定性のために働いています。
特に小指や薬指に相当する外側の指は、捻挫をしないために重要な働きをしています。実際にどのぐらい働いているのかをテストすることができます。
この指は、自分でテーピングをすることでメンテナンスできます。そして、捻挫のリスクを減らすことができます。練習前とかに自分でやってみましょう。やり方とかは上の記事を参照してみてください。
あと、テーピングということでは、足首にぐらぐら感のある人のための貼り方を紹介します。
4スタンス理論
4スタンス理論というのがあります。結構前からあるんじゃないかなと思います。
足の裏を前後左右の4つに分けて、どこに体重が一番かかるのかを調べます。そして、その場所にあった身体の動かし方をするといいよ、という感じの理論。
それがどうこうということではないのですが、前後左右に分けるという考え方があるというのを紹介しました。つまりは、内側の人もいるし、外側の人もいるよ、ってこと。で、前方の人もいるし後方の人もいると。
で、先ほどの説明の2番目、腹筋の働きが落ちる。これで、外側荷重になりやすいし、さらに後側荷重にもなりやすいです。なので、捻挫リスクは高いと思います。
ケーセブン整骨院では「内側・外側や前側・後側でどこがいいと思っているか?」というと、内側前側の組み合わせが一番いいと考えています。メンテナンスをして身体全体の機能を調整するとそこに来るので。
膝下を考えてみると、そこには骨が2本入っています。太い骨と細い骨。
太い骨は、体重を支えられるように作られており、太ももの骨ともちゃんと組み合う感じになっています。細い骨は直接体重を支えられる構造にはなっていないです。
で、外側荷重になるというのは、この細い骨に体重が掛かっていること。つまりは合理的ではないということです。本来は、太い骨側にかかっていないといけないです。
それはともかく、足のどこに体重が掛かるかをきちっと検討している方がいて、そういう考え方の延長線上に怪我のリスクや「クセ」の理由が潜んでいるということです。
まとめ
いずれにしても、もしスポーツをするなら身体のメンテナンスは欠かせないと思います。
捻挫とは、靭帯と呼ばれるパーツが伸びたり切れたり壊れたりすることです。
靭帯というのは、骨と骨がバラバラにならないように止めておく役割と変な方向に行かないように支える役割があります。ということは骨と骨に変な力が加わらない安静状態なら捻挫しないということです。逆にいえば、どんな力が加わるかわからないスポーツの状態では捻挫のリスクが高いです。
そのため骨と骨がバラバラにならないように常に支える筋肉がちゃんと働いてくれれば捻挫のリスクは減ることになります。これらの筋肉がきちんとメンテナンスされていない状態だと、常に靭帯に負担がかかる状態であり、捻挫を繰り返し、それが「癖」と呼ばれているに違いありません。
癖になるかどうか、そのメカニズム、そんなことはどうでもいいといえばいいです。ただ、同じ怪我を繰り返すのであれば、断ち切るためにも身体のメンテナンスをした方がいいです。
そんな感じで、少し考え方を変えて、身体のメンテナンスをしてみるっていうのはどうでしょうか?という話でした。