「えっ、なんで?そのシール(テーピングテープ)すごいですね!」
施術をしながら、特に初めてのお客様との会話の中に、上のような言葉を聞くことがあります。シールを貼ったその瞬間に身体に変化が起こることに驚かれるので、それはそれで嬉しいのです。がしかし、実はちょっと違います。
シールとかテープとか、そういう道具がすごいんじゃないんです。シールとかテープとかその他いろいろな医療道具はあくまでも道具であって、効果が出るのは施術者の腕によるものなのです。
例えばある患者さんは鍼が効くといいました。医療提供側の僕らからすると、それは鍼が効いているのではなく、鍼を使った先生の技が効いています。
もし鍼自体が効くのであれば、先生のところに行かずに自分で鍼を刺しても効くはず。
なのでテーピングでも同じです。
施術をした時に「テープってすごい効きますね」といわれることがあります。しかしそれは、テープ自体が効いているのではなく、施術をした僕の技術が効かせています。
だから、あなたがテープを自分で買って貼った場合、ある程度は効くかもしれませんが、僕らプロが貼ったのと同じように効くことはありません。
鍼は免許がいるので、誰でもできる気はしないかもしれないです。でもテーピングは本屋さんにはたくさんの本があり、ご自分で出来るような気がするかもしれません。
でも実際にはそんな簡単なものではありません。
なぜか人は施術に道具を使った場合、その道具が効いていると思いがちです。物があれば、とてもわかりやすいのは理解ができます。
ただ、実態として雑誌やテレビなどの宣伝広告の影響が強いです。そういった商品を売るために効果をうたっているものが多いので、それを見た時に「物が効く」と思ってしまっても仕方ないです。
もちろんそういった治療用のグッズの効果がまるでないわけではありません。それぞれのメーカーがきちっと研究開発、評価をして作っているはずものなので、それなりの効果はあるはずです。
ただ、施術者の腕はその研究開発の効果を大きく上回る可能性があります。ホント、腕なんですよ。実際に患者さんを目の前にしている緊張感もありますしね。
もし施術者に腕がなければ、道具の効果に頼らざるを得ません。だとしたら一般の方が買ってきて自分で貼っても同じです。
「弘法筆を選ばず」というように、プロの施術者の場合、あまり道具の効果については気にしていないことが多いです。
自分ごとで申し訳ありませんが、僕は医療用のシールを施術に使いますが、実際にはセロテープであっても同じように効果を出せます。
世の中にはチタンを織り込んだ商品とか、その手の色々な商品はあります。そういった物を使ったからといって、特にセロテープ以上の効果の増大は感じないです。つまり施術による効果が物の効果を大きく上回るということです。
これを読んでくださった方には、物が効いているのではなくて、その施術者が効かせているということを、ぜひ知っていただきたいです。
そこがわかるといい治療院や良い先生を選ぶ一つの基準ができます。ぜひ周りを見回してみてください。たくさんの効くと呼ばれる商品があると思います、医療機器を含めて。それらを売りにしている治療院は…、それなりでしょうね。
医学は学問ですが、治療院現場は技です。提供する治療家と呼ばれる人たちは職人です。そのため施術を受けた方の身体の変わり具合は職人の技で違いが出ます。
治りが悪い時には職人の技を疑うのは悪い事ではありません。
さて、いかがでしょうか?
あっ、いまひとつ思いました。治りが悪い時は先生の腕が悪いといい、治りがいい時には道具がいいという方が多い気がします。僕らはとっても残念です。褒めてもらえることがありませんね…。