年を重ねると目線が上がり身体に影響? 気をつけたい無意識の習慣

人は、無意識のうちに自分が知らない行動をとっていることがあります。

時には、それが自分の身体を壊すことになっています。そういった場合、壊れた体を治すために治療院に行っても、壊れた原因を取り除かない限りなかなか改善が見込めません。

この記事では、僕が最近日常業務の中で気づいた、ご自分の身体を壊す原因になる無意識の動きについて紹介します。

今読んでいただいているあなたにも似たようなことがあるかもしれません。違うかもしれませんが、こういったことが存在することを知っているだけでも、今後ご自身の身体のことで困るリスクが減ると思います。 ケーセブンではこんなことまで考えながら皆さまへ施術をさせていただいています。

普段あなたはどこをみていますか?

多くの人は、普段自分の目線がどこに向いているか無意識なことが多いです。

日常の業務(臨床)を重ねていく上で、この目線がとても重要だと思うようになってきました。状態を聞くために話をしているとき、また施術をしているときに、目だけ上を向いてしまう人が多いです。

歳をとるほど目線は上へと上がっていき、上がっている方ほど身体に悪影響が出ている。

若いうちは身体も頑丈だし目線が上がっていないので特に問題になることはないです。問題になってくるのは65歳以上、特に女性に多い感じです。

目線が上を向くと起こること

施術中に目線が上を向くと、心ここにあらずになる。

話をしている時によく気付くのですが、目線が上がってしまうと心がここにいなくなります。

うちの近所のヤオコーに行ってしまうのか、ご自身の台所で今日の夕飯を考えてしまうのか、とにかくここにいなくなってしまいます。

比較的密にコミュニケーションをとりながら施術を進めるケーセブンの施術のやり方では、心はここにいてもらわないといい施術品質の提供が難しいので、困ります。

目線が上を向くと、身体のトラブルの要因になる

施術がしにくいだけであれば、まだいいのかもしれません。時にそれが身体の痛みにつながることがあるのが厄介です。せっせといい施術をしても目線が上を向くせいで痛みが出るのであれば、それを取り除かないと改善が難しいです。

メカニズム的にはこんな感じ。

  1. 目線が上を向く
  2. 顎が上がる
  3. 重心が後ろに行く
  4. 腹筋系が働きにくくなる
  5. 腰に負担をかける

腹筋系が働きにくくなると、身体が不安定になることがあります。年配の方だと、後に転びそうで怖いといい出す人が出てきます。

また、腰痛や膝の痛みの原因になることもあります。身体が不安定な状態になるので、身体全体で体重を支えることができなくなり、腰や膝に負担を掛けてしまいます。

よく「体幹を鍛えよ」的な話を聞くと思いますが、その逆のことが起こってきます。

スポンサーリンク

目線が上がってしまう人への対策

患者本人にお願いすること

目線は無意識のうちに決められているものなので、第三者である施術者が修正することは難しいです。とはいえ、無意識のことなので本人の修正も難しいです。

難しい事だらけなのですが放っておいても何も進まないので、まずはそういったことが起きていることを認識してもらうところから始まります。そして先に説明したように、身体に悪影響になる可能性があることを理解してもらいます。

施術中、僕が上に向いた視線に気付いた時に「今はどこを見ていますか?」と質問をすることで、いつの間にか目線が上がっていることに気付けます。

また、施術室の中にもだいたい患者さんの目線の高さに印をつけてあります。気がついたときにその目印に視線を向けてもらうと結構下を見てる感じになるそうです。だいたい目と同じ高さに印をつけてあるのにも関わらずです。

こうしていつの間にか目線が上を向いていることに気づければ、無意識のうちに目線が上がっていることに納得してもらえます。

目線が無意識で上を向くことがわかれば、気づいたときに水平もしくは多少下に目線を向けるようにお願いします。

施術者側からすること

目線が上を向くのは無意識のうちに起こることなので第三者である施術者がどうこうするのは比較的難しいです。それでも、すこしでも目線が上がらないようにやっていること。

目線が上を向いている時と下を向いている時で身体の状態をチェックすると、下を向いている時に全身的に力が入りにくいことがわかります。目線を上に向けていた方が身体全体が楽なんでしょうね。

なので目線を下に向けた状態で全身に力が入りやすくなるように神経系の調整をします。これだけで目線が上がらなくなるわけでありませんが、だいぶ目線を下げやすくなります。

スポンサーリンク

事例 (腰痛)

目線が上がってしまっている人には年中気がつきますが、今回の話題の典型的な事例を紹介します。「治療とは何なのか」ということも考えさせられる事例でした。

70歳女性で、定期的なメンテナンスを始めてしばらくたったころの話です。僕自身も目線が上を向くことの弊害について確証を持ち始めた頃と重なっていたので特に印象強いです。

その時には軽い腰痛を訴えていました。特に重大な痛みではなかったのですが、メンテナンスでの来院時だったので話してくださった感じです。

その話し中に目線が上に向いていることに気づき、目線が上を向くと先に説明したようなメカニズムで腰痛を起こす可能性があることを話しました。

次に来院されたときに、僕の話をかなり理解してくださり日常的に目線を気にするようにしたそうです。

そして「今までは目線が上を向いていて、外を歩いていても空を見ていることが多かった。」とのこと。さらに気をつけて正面を見るようにしていたら腰痛が全く起こらなくなったとのことです。

日常生活で目線に気を付けてくださった結果、身体はいい方に変化をしました。

特に腰への施術をしたわけではなく、「目線が上を向いているから日頃から正面を見るように気をつけましょうね」というアドバイスだけで腰痛が改善した可能性があります。

こういうことがあるので、実際に痛みが出ている腰への施術も大切ですが、患者さんの日常生活での身体の変化をある程度管理し、対処法を伝えていくのも重要な治療なんだなと実感しました。

まとめ

自分自身が日常の患者さんと向き合う施術の中で、人は年齢とともに目線が上を向いていくことがあり、それが身体を壊す原因になりえることに気づいてこれるようになりました。

壊れた身体を修復していくためには、その原因を追求して行くことがとても重要です。その仕組みを深掘りして行くこともとても重要だと実感した事例でした。

歳をとった時にどうして目線が上を向いてしまうのかについては現時点ではぼくには理解できていないです。なので目線を下げてくださいというのは、いってしまえば対症療法。昨今根本治療という言葉をよく聞きますが、この件に関していえばとても難しいと思います。

それでもできることはあると思っています。患者さんの体を注意深く観察すること。原因を根本から修正できないとしても、少しでも根本に近づけるような修正を施すこと。この追求は施術者としてはとても大切なことだと思います。

日頃の些細な行動の積み重ねが、気づかぬうちに身体に大きな影響を与えかねません。ご自身の習慣を振り返り、健やかな生活習慣作りに意識を向けていきましょう。この記事が、少しでもあなたのお役に立てたなら幸いです。

エッセイ
スポンサーリンク

ケーセブン整骨院代表の走尾(はしお)です。
大学工学部を出て、コンピュータメーカーでコンピュータのハード設計を11年以上経験してから人の身体をよくする業界に入ってきました。
今の仕事も四捨五入して20年に入ってきて、かなりレベルが高くなってきたと思っています。
コンピュータの業界で培った技術と人の身体で培ってきた技術の相乗効果で、よりよい施術品質を提供しています。

Hashioをフォローする
タイトルとURLをコピーしました